Anthropicは、日常業務の自動化を目的とした新しい macOS 向けツール「Cowork」を発表しました。これは、AIがユーザーの指示に応えるだけでなく、コンピューター上で自律的にタスクをこなす「AI エージェント」として機能するものです。AIの役割が、単なるアシスタントから協業できる「同僚」へと一歩進んだことを示しています。
Coworkは、AnthropicのAIモデル「Claude」のデスクトップアプリに搭載された新機能で、プログラミングなどの専門知識がないユーザーでも直感的に使えるように設計されています。従来のチャットボットと大きく異なるのは、ユーザーが許可したフォルダ内で、ファイルを直接読み込み、編集し、新規作成できる点です。例えば、「ダウンロードフォルダを整理して」「複数のメモをまとめてレポートを作成して」「領収書の画像から経費一覧のスプレッドシートを作って」といった大まかな指示を出すだけで、Coworkが自律的に作業を完了させます。
この機能の基盤には、開発者向けに提供されていた技術が活用されています。AI エージェントの最大の特徴は「自律性」にあり、ユーザーが大まかな目標を伝えるだけで、AI自らが計画を立て、必要な手順を判断し、作業を実行します。セキュリティにも配慮されており、Apple の技術を利用した「サンドボックス」と呼ばれる隔離された環境で動作します。これにより、Coworkは許可されたフォルダ以外にはアクセスできず、安全性が確保されています。
現在、Coworkは Claude の macOS 版デスクトップアプリにて、「研究用プレビュー」として提供されています。利用できるのは Claude Max プランの加入者で、料金は月額 100 ドル(約 15,600 円)から 200 ドル(約 31,200 円)です。将来的には Windows への対応や機能拡張も計画されています。
一方で、Anthropicはファイル操作に伴うリスクについても注意を促しています。AIが指示を誤解し、必要なファイルを削除してしまう可能性や、悪意のある指示が書かれたファイルを読み込むことで意図しない動作を引き起こす「プロンプトインジェクション」攻撃のリスクです。安全対策は施されているものの、利用者はAIに明確な指示を与え、慎重に扱うことが求められます。
Coworkは、AI が私たちの「同僚」として日々の業務をサポートする未来像を示すツールです。生産性を大きく向上させる可能性を秘めている一方で、その能力を最大限に活かすためには、利用者が利便性とリスクの両方を理解し、適切に使いこなすことが重要になるでしょう。
