ボストン・ダイナミクスは、Google DeepMind との戦略的提携を発表しました。この提携を通じて、同社の人型ロボット「Atlas」に、Google のロボット向け基盤モデル「Gemini Robotics AI」を統合する計画です。卓越した身体能力を持つ Atlas の「体」に、Gemini という強力な「脳」を組み合わせることで、産業分野における汎用的な自律作業の実現を目指します。
これまで Atlas は、パルクールやバックフリップといった高度な運動能力で知られてきましたが、タスクの計画や実行は、事前のプログラミングや人間の遠隔操作に頼っていました。一方、Google DeepMind が開発した Gemini Robotics は、物理世界でのインタラクションに最適化されており、ロボット制御に優れた能力を発揮します。ボストン・ダイナミクスの CEO であるロバート・プレイター氏が「我々には最高の身体があるが、より強力な脳が必要だった」と語るように、今回の提携は Atlas が真の自律性を獲得する上で不可欠なステップです。
Gemini AI が統合されることで、Atlas は自然言語による曖昧な指示を理解し、カメラ映像やセンサーからの情報を基に自ら行動を計画する能力を持つことが期待されます。複雑な目標を具体的なサブステップに分解し、初めて遭遇する環境にも適応する汎化能力が向上することで、Atlas は単なるパフォーマーから、実用的な「自律型タスク実行ロボット」へと進化します。
この共同研究は今後数ヶ月以内に開始され、2026 年には現代自動車および Google DeepMind の施設で試験運用が始まる見込みです。さらに、ボストン・ダイナミクスを傘下に持つ現代自動車グループは、2028 年から米国の工場に Atlas を配備する計画を立てており、製造業における労働力不足の解決策としても注目されています。今回の発表は、AI が物理世界で活動する「Physical AI」時代の本格的な到来を告げるものであり、ロボット産業全体の技術水準を再定義する可能性を秘めています。
