半導体大手の Nvidia は 2025年12月26日、Intel の株式 50 億ドル(約 7,850 億円)相当の購入を完了したことを明らかにしました。この取引は、同年 9月18日 に発表された戦略的提携の一環であり、米国証券取引委員会への提出書類により 12月29日 に最終化が確認されています。
今回の投資は単なる財務的な動きに留まらず、両社の技術協業を深化させる戦略的な意味合いが強いものとなっています。Nvidia は Intel の普通株 2 億 1,477 万 6,632 株を 1株あたり 23.28 ドルで取得し、これにより Intel の発行済み株式の約 4% を保有する主要株主となりました。
この提携の具体的な協業内容として、データセンター向けには Intel が Nvidia の AI プラットフォームに統合されるカスタム x86 CPU を製造。PC 向けには、Intel が Nvidia の RTX GPU チップレットを統合した x86 SoC を開発します。両社のアーキテクチャは Nvidia の高速接続技術 NVLink を通じて連携され、AI ワークロードの性能向上が期待されます。
Nvidia にとって、この提携は AI チップ市場での支配的地位を固めるとともに、Intel という米国拠点の製造オプションを確保することでサプライチェーンの多様化と地政学リスクの軽減につながります。
一方の Intel にとっては、巨額の設備投資で財務的に厳しい状況の中、この 50 億ドル(約 7,850 億円)の資金は大きな支えとなります。ファウンドリー(半導体製造受託)事業の信頼性を高め、先進技術開発への投資を継続するための時間を確保する狙いがあります。
市場の反応は比較的冷静で、Intel の株価は一時的に上昇したものの、Nvidia の株価は取引完了後にわずかに下落しました。これは、市場がこの動きを新たなサプライズではなく、既存の戦略の実行フェーズと見なしているためと考えられます。
この投資は、米国政府による 89 億ドル(約 1兆3,973 億円)やソフトバンクグループによる 20 億ドル(約 3,140 億円)の出資と並び、Intel 再建に向けた大規模な外部資本注入の一環です。今後、両社の協業が半導体業界の競争構造にどのような影響を与えるか、特に Intel のファウンドリー戦略の進展が、この提携の真価を問う鍵となりそうです。
