中 MiniMax、多言語対応のAIモデル「M2.1」をリリース ー Z.ai と同様 1 月に香港上場予定

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Alibaba が出資する AI 企業 MiniMax が、新たなオープンソースモデル「M2.1」を 2025年12月23日に発表しました。これは先行モデル M2 からの大幅なアップグレードであり、同社が「エージェント時代の最強のオープンソースモデル」と位置づける意欲作です。Zhipu の GLM-4.7 モデルとほぼ同時期のリリースとなり、1月に香港上場を控える両社の競争が激化している状況がうかがえます。

M2.1 の際立った特徴は、多様なプログラミング言語への対応力です。多くの AI モデルが Python に最適化されてきたのに対し、M2.1 は Rust、Java、Golang、C++ など多岐にわたる言語での能力を体系的に強化しています。これにより、低レベルのシステム開発からアプリケーション開発まで、幅広い領域をカバーします。実際に、マルチリンガル SWE テストでは 72.5% というスコアを記録し、Gemini 3 Pro や Claude 4.5 Sonnet といった競合モデルを一部の指標で上回っています。

さらに、M2.1 はモバイル(Android, iOS)およびウェブアプリケーション開発能力も大幅に強化しています。VIBE ベンチマークでは平均 88.6点 を獲得しており、これは単なるコード生成だけでなく、実際に機能するアプリケーションを構築できる能力を示唆しています。アーキテクチャには Mixture-of-Experts (MoE) を採用。総パラメータ数は 2300 億 ですが、推論時に活性化するのは 100 億 パラメータに抑えられており、高い処理速度とコスト効率を実現しています。一部のベンチマークでは、Claude Sonnet 4.5 の約 10分の1 のコストで運用可能と報告されています。

M2.1 はオフィス業務やデータサイエンスなどの分野で「デジタル従業員」としての活用も期待されています。思考プロセスを応答に挟む「インターリーブ思考」の導入により、複雑な問題解決能力も向上しています。一方で、アプリ開発の実装品質にムラがあるとの指摘や、特定のタスクでエラーが発生するケースも報告されています。ただ、機密情報を扱う上で重要なセキュリティ対策に関する公式情報が不足しており、導入時には注意が必要です。

MiniMax M2.1 の登場は、AI によるソフトウェア開発の新たな可能性を示すものです。その高い多言語対応能力とオープンソース戦略が、今後のAI エコシステムにどのような影響を与えるか注目されます。