中国のAIスタートアップ Z.ai(智譜AI)が、コーディングに特化した大規模言語モデル「GLM-4.7」をリリースし、1 月には香港での新規株式公開(IPO)を控えるという動きを見せています。
2025年12月22日にオープンソースとして公開された GLM-4.7 は、複数の国際的なベンチマークで欧米の主要モデルに匹敵、あるいはそれを上回る性能を示しています。特に、開発者コミュニティによるブラインドテスト「LMArena Code Arena」ではオープンソースモデルの中で 1 位を獲得し、GPT-5.2 を超える結果を記録しました。また、実世界のコーディング能力を測る「LiveCodeBench V6」や、実際の GitHub の問題修正能力を評価する「SWE-bench Verified」でも、Claude 4.5 Sonnet などの競合を凌ぐ高いスコアを達成しています。
Z.ai は、2019年に清華大学からスピンオフした企業で、Alibaba や Baidu など中国の AI 産業を牽引する中国版 GAFAである「AIタイガー」の一角とされています。これまでに総額 14 億ドル(約 2184 億円)を調達していますが、2025年1月には米商務省のエンティティリスト(*)に追加されるなど、地政学的な側面も持ち合わせています。
GLM-4.7 のリリース直後、Z.ai は香港証券取引所での上場計画を大きく前進させました。2026年1月8日の正式上場を予定しており、最大で 3 億ドル(約 468 億円)の調達を目指しています。この IPO は、大規模言語モデルを開発するスタートアップとして世界で初めての主要な公開事例となる可能性があります。
Z.ai の一連の動きは、世界のAI開発競争における中国企業の台頭を象徴しています。GLM-4.7 は、その高い性能と競争力のある価格設定により、開発者にとって新たな選択肢となります。香港上場で得た資金は、同社の研究開発をさらに加速させ、グローバル市場での地位を強化することにつながるでしょう。
2026年は本格的に「中国のオープンソースモデル」対「アメリカの商用モデル」の争いが本格化していきそうです。
*米国の国家安全保障・外交上の理由から「特別に輸出管理する対象先のブラックリスト」
