仏 Mistral AI が Mistral 3 ファミリー10モデルをオープンソースで公開

投稿者:

フランスの AI スタートアップ Mistral AI は2024年12月2日、次世代「Mistral 3」ファミリーを発表しました。フラッグシップモデル「Mistral Large 3」と小型「Ministral 3」シリーズ9モデルを含む計10のオープンソースモデルを Apache 2.0 ライセンスで公開し、商用利用に制限を設けない戦略を打ち出しました。

Mistral Large 3 は総パラメータ数675B(アクティブパラメータ41B)の Mixture-of-Experts(MoE)アーキテクチャを採用し、256K トークンの大容量コンテクストウィンドウを実現しています。料金設定は入力トークン100万件あたり0.50ドル(約750円)、出力トークン100万件あたり1.50ドル(約2,250円)と、OpenAI の約80%安い価格を実現しました。

Ministral 3 シリーズは3B、8B、14Bパラメータの3サイズで、各サイズで Base、Instruct、Reasoning の3つの派生型を提供します。これらはラップトップやドローン、ロボットなどのエッジデバイスでの動作に最適化されており、14B パラメータのトップモデルは数学オリンピック問題(AIME ’25)で85%の正答率を達成しています。

技術面では NVIDIA との協業により、全 Mistral 3 モデルが NVIDIA Hopper GPU で訓練され、GB200 NVL72 では前世代 H200 の10倍のパフォーマンス向上を実現しました。Amazon Bedrock、Azure Foundry、Hugging Face、IBM WatsonX などの主要プラットフォームで利用可能です。

Mistral AI は2024年9月に ASML 主導のシリーズ C で17億ユーロ(約3,825億円)を調達し、評価額117億ユーロ(約2兆805億円)に到達しました。同社が提唱する「分散インテリジェンス」により、クラウドからエッジまでの幅広い AI 展開を可能にし、欧州の AI 主権確立に貢献する戦略を推進しています。