中国のテクノロジー企業、快手(Kuaishou)が、新たなAIビデオシステム「Kling O1」を発表しました。このツールは、ビデオの生成と編集を単一のモデルで処理する「世界初の統合マルチモーダルビデオ基盤モデル」と位置付けられており、コンテンツ制作のワークフローを使いやすく変える可能性があります。
Kling O1 の最大の特徴は、テキスト、画像、既存のビデオクリップといった複数の形式の入力を受け入れ、それらを一つのプラットフォームで扱える点です。ユーザーは、キャラクターの入れ替えや背景除去、特定要素の修正といった高度な編集を直感的に行えます。また、自然言語のプロンプトで「通行人を消す」「昼から夕暮れに変える」といった編集も可能です。静止画を動画に変換したり、写実的な映像をアニメ風に変えたりする際も、動きの一貫性を保ちます。生成可能なビデオは 1080p の高解像度で、長さは 3 秒から 10 秒の範囲に対応しています。
これまでのAIビデオツールは、生成用と編集用で機能が分かれていることが多く、クリエイターは複数のツールを行き来する必要がありました。Kling O1 はこの問題を解決し、生成から編集までを一貫して行えるようにすることで、制作プロセスを効率化します。複雑なポストプロダクション作業が、シンプルな対話形式の操作に置き換わることで、クリエイターはより創造的な作業に集中できるようになります。
Kling O1 は、OpenAI の Sora や Google の Veo などがひしめく動画生成のグローバル市場をターゲットとしています。快手は Kling AI 事業で 2025年第 3 四半期に 3 億元(約 4,200 万ドル、約 66 億円)の売上を記録しており、ゴールドマン・サックスは 2025年の年間収益が 1 億 4,000 万ドル(約 221 億円)を超えると予測しています。快手は Kling をプロ向けのツールと位置づけ、API 契約を通じてすでに約 1 万の B2B 顧客を獲得しており、企業の「効率向上とコスト削減」に貢献することを目指しています。
