中国のAIスタートアップ DeepSeek は 2025年12月1日、推論能力に特化した最新の大規模言語モデル「DeepSeek V3.2」および「DeepSeek V3.2-Speciale」をリリースしました。これらのモデルは、OpenAI の GPT-5 や Google の Gemini 3 Pro といった最先端モデルに匹敵、あるいは一部で凌駕する性能を持ちながら、大幅なコスト削減とオープンソースでの提供を実現している点が注目されます。
「DeepSeek V3.2」は日常的なタスクで GPT-5 と同等の推論能力を持つとされ、高演算に特化した派生型「V3.2-Speciale」は GPT-5 を超え、Gemini 3 Pro に匹敵する高度な推論能力を誇ります。「Speciale」は国際数学オリンピック (IMO) や国際情報オリンピック (IOI) で金メダル級の成績を収めるなど、複数のベンチマークでその実力を証明しています。
最大の特長はそのコスト効率です。V3.2 の利用料は入力 100万トークンあたり 0.28 ドル(約 44 円)、出力 100万トークンあたり 0.42 ドル(約 66 円)と、競合の Gemini 3 Pro(入力 2 ドル/出力 12 ドル)や GPT-5.1(入力 1.25 ドル/出力 10 ドル)と比較して数分の一の価格設定です。この低コスト化は、計算量を削減する独自のアーキテクチャ「DeepSeek Sparse Attention (DSA)」などの技術革新によって実現されています。
両モデルは MIT ライセンスの下でオープンソースとして公開されており、開発者は自由に研究やカスタマイズ、商用利用が可能です。この戦略は、AIコミュニティ全体のイノベーションを促進するでしょう。
一方で、Speciale は推論を優先するため出力が長くなる傾向や、ツール呼び出しに未対応といった課題も存在します。しかし、DeepSeek の最新モデルは、オープンソースAIがクローズドソースのフロンティアモデルと競合しうることを示しました。計算資源に制約がある環境でも高性能なAI開発が可能になる道筋を示しており、今後のAI業界に大きな影響を与えそうです。
