中国のオープンソース AI モデル、ダウンロード率でアメリカを初めて上回る

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MIT とオープンソース AI スタートアップ Hugging Face の共同研究により、中国が開発したオープンソース AI モデルのダウンロード率が過去1年間で 17.1% に達し、15.8% のアメリカ製モデルを初めて上回ったことが明らかになりました。

研究者らは 22 億件のモデルダウンロード履歴を分析し、オープン AI エコシステムの実際のパワーバランスを追跡調査しました。この結果により、中国は世界のオープンソース AI モデル市場において重要な優位性を獲得したことになります。

中国のオープンモデルダウンロードの大部分は DeepSeek と Alibaba の Qwen モデルが占めており、これら2社がグローバルで使用される中国製モデルの大部分を提供しています。注目すべきは、DeepSeek が前身モデル V3 を 600 万ドル(約9億円)で訓練したと主張していることで、これは OpenAI の GPT-4 の 1 億ドル(約150億円)と比較して大幅に低コストです。

MIT 研究者 Shayne Longpre によると、DeepSeek や Alibaba Cloud などの中国企業は週単位または隔週ベースで様々なバージョンのモデルをリリースする「パラダイムシフト」を起こしています。これに対してアメリカの研究所は6ヶ月から年単位でモデルシリーズをリリースしており、中国企業の迅速なリリースサイクルとは対照的です。

一方、OpenAI、Google、Anthropic などのアメリカのテック大手は「クローズド」戦略を採用し、先進的な AI 技術を完全にコントロールしながらサブスクリプションや企業パートナーシップから収益を上げています。研究論文では、アメリカ AI 産業の支配力が、独立系の開発者や中国企業の台頭によって急速に弱まったと述べられています。

中国は Nvidia の最先端チップを利用できないため、政府は企業にモデルをオープン化させ、コミュニティ主導で改良を進める方針を取っています。優秀な AI 研究者たちは、こうした環境の中で効率の高いモデルを次々と生み出しています。これらの成果は単なる意外性にとどまらず、現状が大きく転換しつつあることを示し、AI 競争が二極化している明確なサインとなっています。