Google が新しい AI による気象予測システムを発表、ハリケーン予測精度も向上

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Google DeepMind と Google Research は11月17日、最新の AI 天気予測モデル「WeatherNext 2」を発表しました。このモデルは従来の8倍の速度で予測を生成し、1時間単位の高解像度予測を可能にしています。

技術的には、約1億8000万パラメータを持つ Functional Generative Network(FGN)を採用し、前世代を大幅に上回る規模となっています。6つの大気変数を13の圧力レベルで処理し、0.25度の緯度経度グリッドで詳細な予測を実現しています。

計算性能の向上も顕著で、単一の TPU を使って1分未満で数百のシナリオを予測できます。これは従来のスーパーコンピュータで数時間かかっていた処理と比べて劇的な高速化を実現しています。また精度についても、温度や風速、湿度などの99.9%の変数において従来の WeatherNext モデルを上回り、平均で6.5%、最大では18%の改善を達成しています。

既に Google Search 、Gemini 、Pixel Weather などの製品に統合され、数週間以内には Google Maps でも利用開始予定です。開発者や企業は Earth Engine と BigQuery を通じてデータにアクセスでき、Google Cloud Vertex AI 上でAPIを通じた早期アクセスプログラムも実施されています。

エネルギー業界では、すでに BP や Shell などの企業が温度・風力予測の精度向上を活用し、再生エネルギーの発電予測や負荷分散の改善に役立てています。また今後、農業分野では播種や灌漑のタイミング最適化、物流業界では安全な運営とルート最適化への応用が期待されています。

特に注目すべきは、最大15日前のサイクロン予測能力です。ハリケーンの進路を3日前まで正確に予測でき、従来モデルの2日前を上回る性能を実現しています。米国国立ハリケーンセンターは2025年のハリケーンシーズンで実験的に Google の AI モデルを運用に統合する予定です。

世界の天気予測サービス市場は2024年に27.3億ドル(約410億円)、2030年までに40.7億ドル(約610億円)に成長する見込みで、年平均成長率は6.9%と予測されています。