2025年11月6日、中国の Alibaba が支援するスタートアップ Moonshot AI が、オープンソース AI モデル「Kimi K2 Thinking」をリリースしました。このモデルは、オープンソースとしては初めて GPT-5 レベルの性能に到達したとして注目を集めています。
Kimi K2 Thinking は1兆パラメーターの MoE(Mixture of Experts)アーキテクチャを採用し、32億パラメーターがアクティブに稼働します。訓練費用は460万ドル(約6億9000万円)と報告されており、従来の大規模モデルと比較して大幅にコスト効率が向上しています。
技術的な特徴として、エンドツーエンドで思考推論とツール呼び出しを組み合わせた Thinking Agent を実現し、200〜300の連続ツール呼び出しを人間の介入なしに自動実行できます。また、量子化対応トレーニング(QAT)により推論速度を約2倍向上させ、モデルサイズも INT4 量子化により594GB まで削減されています。
ベンチマーク性能では、Humanity’s Last Exam(HLE)で44.9%を記録し、GPT-5 を上回りました。また、BrowseComp では60.2%と、GPT-5 の54.9%、Claude 4.5 の24.1%を大きく上回る結果を示しています。 価格面でも競争力が高く、入力は100万トークンあたり0.15ドル(キャッシュヒット時)、出力は2.50ドルと設定されています。これは GPT-5 の約4分の1のコストで利用できることを意味します。
Moonshot AI は2023年3月に創設され、2024年8月には Tencent と Gaorong Capital から3億ドル(約450億円)の投資を獲得し、評価額は33億ドル(約4950億円)に達しています。Hugging Face の Thomas Wolf 氏は、このリリースを「DeepSeek モーメント」の再来と評価しており、オープンソース AI が新たな転換点を迎えていることを示しています。
