投稿者: 2025 年 10 月 21 日、ニューヨーク・タイムズがアマゾンの内部文書を入手し、同社が倉庫業務の大規模な自動化計画を進めていることが明らかになりました。この計画によると、アマゾンは 2033 年までに倉庫業務の 75 ％を自動化し、その過程で 60 万人規模の新規雇用を回避する見通しです。
内部文書によれば、短期的には 2027 年までに 16 万人の倉庫職の代替が見込まれており、同年までに人件費で約 126 億ドル（約 1 兆 9000 億円）の削減が試算されています。この動きは「レイオフ（解雇）」という形ではなく、「新規雇用を回避する」という形で総人員を減らす戦略とされています。
アマゾンはすでに全世界で 100 万台以上のロボットを稼働させており、同時に人間の労働者は約 120 万人を雇用しています。新たに導入されている AI 搭載ロボットには、仕分け・ピッキング専用の「 Proteus 」「 Sparrow 」「 Cardinal 」が含まれます。これらは従来 3 種類必要だった作業ロボットを 1 台でこなすもので、荷物の仕分け・搬送・整理を自律的に行うことが可能です。
特に影響を受ける地域としては、カリフォルニア州で約 15 万人の雇用が集中しており、この州の経済への影響が最も懸念されています。また、一部倉庫では既にロボットの導入により、人員が 25 ％～ 50 ％削減されているケースもあります。
これに対し、アマゾン広報担当ケリー・ナンテル氏は「これらのリーク文書は特定チームの視点に基づいたもので、実際の全社的な採用計画を反映していない」と述べ、大規模解雇の意図はないと否定しています。ただし、同社は AI とロボティクスへの投資を推進しており、「人手依存からの脱却」が戦略の中心にある点は否定していません。
今回の報道は、 単一企業による AI 自動化が数十万人規模の雇用に影響を与える初めての事例として、社会的にも大きな議論を呼んでいます。今後、ウォルマートや UPS など他の企業にも同様の動きが波及する可能性があり、ブルーカラー職の雇用構造に大きな変化をもたらすことが予想されます。