Google は 2025 年 10 月 16 日に「 Grounding with Google Maps 」を発表し、自社の AI モデル「 Gemini 」を Google Maps と直接接続できるようにしました。これにより、 Gemini API を利用する開発者は、 Maps が保有する 2 億 5,000 万件以上の実世界の場所データにアクセスできるようになり、より正確で状況に応じた AI アプリケーションを構築できるようになります。
この新機能は、 AI の推論能力を Google Maps の最新の地理情報に「グラウンディング(基礎付け)」するものです。これにより、 AI が生成する誤った情報(ハルシネーション)を減らし、事実に基づいた回答を提供できるようになります。ユーザーの質問に位置情報が含まれている場合、 Gemini は自動的に Maps ツールを呼び出し、店舗、営業時間、レビュー、交通状況などのリアルタイムデータを取得して回答に反映します。
開発者は緯度・経度を指定することで、より正確なローカル情報を取得できます。また、 API 応答に含まれる「コンテキストトークン」を使えば、アプリ内に Google Maps のインタラクティブウィジェット(写真やレビュー付きマップ)を埋め込むことも可能です。さらに、同じリクエスト内で Maps の構造化データと Google Search のウェブ情報を併用できるため、より包括的な情報提供が実現します。
この統合は Gemini 2.5 Pro 、 2.5 Flash 、 2.5 Flash-Lite 、 2.0 Flash といった最新モデルで利用でき、旅行、物流、不動産、小売など、位置情報を活用する産業での応用が期待されます。例えば、旅行アプリならユーザーの現在地から最適な観光プランや交通時間を生成でき、不動産アプリなら物件周辺の利便施設を自動的に紹介できます。小売業では、最寄り店舗や混雑状況に基づく動的な店舗案内も可能になります。
利用料金は 1,000 回のグラウンディングプロンプトあたり 25 ドル(約 3,750 円)から。 Google AI Studio でデモとカスタマイズが可能です。 Google はこれを「 AI が現実世界を理解するための世界モデル」の一歩と位置付けており、単なるテキスト生成ではなく、地理的推論と空間的理解を伴う「地域情報に精通した AI 」への進化を目指しています。
Google Search との統合「 Grounding with Search 」に続く第 2 弾として、今回の発表は同社の AI エコシステムをさらに強化するものです。開発者にとって、 Maps の持つ「地理的知能の宝庫」を活用しやすくなったと言えるでしょう。
