中国発のオープンソース思考モデル「 Ring-1T 」が国際数学オリンピックで銀メダル相当の成績を達成

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Ant Group のAGI イニシアティブである InclusionAI が発表した「 Ring-1T 」は、オープンソースの”思考モデル(thinking model)”で、国際数学オリンピック( IMO )において内部評価で銀メダルの成績を達成しました。 Google や OpenAI の最新モデルが金メダルレベルを獲得した中で、 Ring-1T はそれらに次ぐ世界トップクラスの性能を示しています。

Ring-1T は総パラメータ数 1 兆(うち 5,000 億がアクティブ)という大規模なモデルで、 128k トークンの長大なコンテキスト(文脈)ウィンドウを持ちます。前提となる基盤モデルに、自然言語による高度な推論と、 Icepop RL という独自のトレーニングエンジン( ASystem )による強化学習を組み合わせることで、高度な推論能力を実現しています。

IMO テストでは、 6 問中 5 問に取り組み、 4 問を一発で解答、残り 1 問も 3 回の試行で解答し、銀メダル相当を達成しました。この成績は、 Google の Gemini 2.5 Pro や OpenAI の最新モデルとほぼ同等、一部では上回る性能を発揮しています。オープンソースとしてリリースされているため、研究者や開発者が自由に利用・改良できる点も大きな特徴です。

2025 年の IMO では、 Google と OpenAI が金メダルレベル( 35 点満点中 35 点)を達成し、これまで人間だけが持っていた”数学的思考能力”に AI が迫る転換点となりました。 Ring-1T は”中国モデル”として初めて世界レベルの思考型 AI をオープンソースで実現し、西側企業中心だった AI 研究と競争構造に大きなインパクトを与えています。

今後、より深い推論力・効率性・アライメント強化が目指されている Ring-1T は、世界最高峰の数学推論 AI の一角としてさらに発展が期待されるオープンソースモデルです。中国発の AGI の台頭を象徴する出来事であり、 AI による”思考力”競争のグローバルトップ集団に名を連ねています。