Tesla、FSD v14 をリリース

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Tesla は、2025 年 10 月 7 日(現地時間)から Full Self-Driving (FSD) Supervised v14.1 のロールアウトを開始しました。これは、2024 年 11 月の v13 リリース以来、約 1 年ぶりのメジャーアップデートとなります。この間、同社は Robotaxi プログラム(テキサス州オースティンでの実証運用)に注力していましたが、v14 ではその知見を反映した大幅な改善が施されています。

v14.1 の主な新機能としては、目的地到着時に駐車場所を細かく指定できる「到着オプション」が挙げられます。選択肢は「駐車場」「路上」「車庫」「ガレージ」「路肩」で、AI がデフォルトを提案しつつ、ユーザーの好みを記憶します。混雑した駐車場でも適切なスペースを探して自律的に駐車する精度が大幅に向上し、これまで不満の多かった駐車時の使い勝手が改善されました。

また、速度プロファイルに新しい「 Sloth (ナマケモノ)」モードが追加されました。従来の「 Chill 」よりさらに慎重でゆっくりな走行を行い、保守的なレーン変更を好む安全志向のドライバーに適しています。反対に「 Hurry 」など速いプロファイルも運転挙動が自然になり、ローカル道路でも実際の制限速度に近いスピードで走行するようになりました。

緊急車両への対応も強化されています。警察車両、消防車、救急車などの接近時に自動で路肩に寄せたり減速するといった判断が追加され、スクールバスへの対応も改善されています。加えて、ビジョンベースのニューラルネットワークにより、リアルタイムの道路封鎖や迂回路を自動管理し、障害物や建設現場の処理も向上しました。

技術面では、ニューラルネットワークのパラメータが 10 倍規模に刷新されており、クリティカルディスエンゲージメント(緊急介入)間隔が 2-3 倍改善され、約 1,200 マイル(約 1,930 km)程度に達する可能性があるとされています。

Elon Musk は v14 について「無監督運転( unsupervised self-driving )に近づいている」と述べていますが、依然としてドライバーの常時監視を必要とする「 Supervised 」モードです。今後、v14.2 が数週間以内にリリース予定で、その後 v14.3 が登場する見通しです。 Tesla の自動運転技術は Robotaxi サービスの実用化に向けて着実に進化していますが、完全無監督にはまだ数ヶ月以上のデータ収集が必要とされています。