ChatGPT 共同開発者が立ち上げた AI スタートアップ「 Periodic Labs 」

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ChatGPT の共同開発者である Liam Fedus 氏と、Google DeepMind で材料科学研究を率いた Ekin Dogus Cubuk 氏が、新たな AI スタートアップ「 Periodic Labs 」を 2025 年 9 月 30 日に発表しました。同社は OpenAI 、 Google 、 Meta など世界トップの AI ラボから 20 名以上の研究者を集め、シードラウンドで 3 億ドル(約 444 億円)という異例の資金調達に成功しています。投資家には Andreessen Horowitz 、 NVIDIA の VC 、そして Jeff Bezos 氏や Eric Schmidt 氏といった著名人が名を連ねています。

Periodic Labs のミッションは、「物理実験によって学ぶ AI 科学者」の構築です。従来の AI は主にインターネット上の膨大なテキストデータから学習してきましたが、同社はそれだけでは限界があると指摘します。代わりに、 AI 自らが仮説を立て、ロボットを使った自動化ラボで実際の物理実験を実施し、現実のデータからフィードバックを得て新しい知識を創出するアプローチを採用しています。 Liam Fedus 氏は「科学とは世界の可能性を推測し、実験で検証し、学ぶこと。 AI には知能が必要だが、それだけでは不十分。現実との一致が新知識を生む」と述べています。

最初のターゲット分野は物理科学、特に新材料の発見です。高温超伝導体の開発や半導体のチップ熱放散問題の解決など、産業界の課題に取り組んでいます。実際、半導体メーカー向けにカスタム AI エージェントを訓練中で、エンジニアが実験データを高速解析できるよう支援しています。

創業チームには、 ChatGPT 、 DeepMind の GNoME 、 OpenAI のエージェント機能、ニューラルアテンション機構、 MatterGen など、主要 AI プロジェクトのコア研究者が参加しています。ベイエリアには高速・大量処理が可能な自動化ラボを構築中です。

Periodic Labs は、実験から生まれる独自データによって AI の活用範囲を物理現象や新材料開発へ拡張し、科学・技術の進歩を根本から変えようとしています。同社は科学アドバイザリーボードを設置し、「 Academic Grant Program 」を通じて意欲的な研究者への資金支援も開始しました。室温超伝導体の発見を目指し、次世代交通、電力グリッド、新しいコンピューティングアーキテクチャの実現を視野に入れています。 AI が「知識消費者」から「知識創造者」へ進化する、新たな時代の幕開けとなりそうです。