Alibaba は 2025 年 9 月 23 日、AI モデルの Qwen3 シリーズとして 6 つの新モデルを一挙にリリースしました。テキスト・画像・音声といったマルチモーダル領域や安全性分野をカバーする包括的なラインナップで、中でも最大の注目は、同社史上最大となる 1 兆( 1T )パラメータ規模の「 Qwen3-Max 」です。
Qwen3-Max は MoE( Mixture of Experts )アーキテクチャを採用し、36 兆トークンの事前学習データを活用しています。入力(コンテキスト)は最大 100 万トークンに対応し、長文処理にも強い特徴を持ちます。推論・コーディング・マルチリンガル・ STEM 領域で GPT-5-Chat などの競合モデルを凌ぐ性能を示し、 LMArena などの主要ベンチマークで世界 3 位にランクインしました。
Qwen3-Max 以外にも、多様な用途をカバーするモデルが同時発表されています。「 Qwen3-Omni 」はテキスト・画像・音声・動画のマルチモーダル処理に対応し、119 言語でのテキスト応答、19 言語での音声認識、10 言語での音声生成が可能です。画像認識モデルの「 Qwen3-VL 」は GPT-5 同等の性能を発揮し、リアルタイム音声応答モデルの「 Qwen3-TTS 」のほか、編集・翻訳・安全性モデルなども展開されています。
安全性の分野では、 AI による有害コンテンツ検出力や多言語対応が改善されており、「 thinking mode 」や各種エージェント型モデルを組み合わせることで、コーディングや複雑な推論にも対応しています。
これらのモデルは Apache 2.0 ライセンスでオープンソース化されており、 Qwen Chat (公式 Web アプリ)や Alibaba Cloud の Model Studio API で公開されています。開発者や企業は、用途に応じて複数のエージェント型モデル・マルチモーダルモデル・安全性モデルを選択できる構成となっています。
Alibaba は AI インフラに 5,340 億元(約 10 兆 5000 億円)以上を投じる方針を発表しており、 2025 年の Apsara Conference では NVIDIA との提携やグローバルデータセンター計画も明らかにしています。この発表を受けて、同社の株価は 9.7% 上昇し、4 年ぶりの高値を更新しました。