Oracle の株価が 2025 年 9 月 10 日の取引で 43%という史上最大の上昇率を記録し、同社の AI インフラ事業が大きな注目を集めています。この急騰により、創業者のラリー・エリソン氏は一時的にイーロン・マスク氏を抜いて世界一の富豪となりました。
この株価急騰の背景にあるのは、 Oracle が発表した AI 関連の巨額契約です。同社の契約バックログは前年比 359%増の 4550 億ドル(約 67.3 兆円)に達し、その中核を占めるのが OpenAI との 5 年間にわたる 3000 億ドル(約 44.4 兆円)の契約です。この契約は 2027 年から開始予定で、 OpenAI の ChatGPT や次世代 AI モデルを支えるインフラとして Oracle のクラウドサービスが活用されます。
OpenAI との契約は、 AI 向けクラウドサービスとしては世界最大級の規模となり、 Oracle は AI インフラ市場の中心プレイヤーとしての地位を確立しました。この契約により、 OpenAI は 4.5 ギガワットの計算能力を確保することになり、これは約 400 万世帯分の電力に相当する規模です。
株価の急騰により、 Oracle の時価総額は約 9130 億ドル(約 135.1 兆円)に達し、 1 兆ドルクラブ入りが目前に迫っています。エリソン氏は Oracle 株の約 41%を保有しており、この株価上昇により個人資産が 1 日で 1000 億ドル以上増加し、純資産は約 3930 億ドル(約 581.6 兆円)に達しました。
Oracle は Amazon Web Services や Google 、 Microsoft といった三大クラウドベンダーの牙城に肉薄する形となり、 AI ブームの恩恵を受ける「インフラ提供者」としての地位を明確にしました。同社は SoftBank と OpenAI が主導する総投資額約 5000 億ドル規模の「 Stargate 」プロジェクトにも参画しており、 AI インフラ競争の激化を象徴する動きとなっています。
一方で、一部のアナリストはこの巨額契約を「 AI バブル」の兆候と指摘しています。 OpenAI は 2029 年までに 1150 億ドルのキャッシュバーンが見込まれており、契約履行のための資金調達が課題となっています。また、 MIT の調査では AI 投資の 95%が ROI を出せていないとの指摘もあり、 Oracle の顧客集中リスクも懸念材料として挙げられています。
それでも、 AI インフラ需要の急拡大を背景に、 Oracle のクラウド事業は今後さらに注目を集めることが予想されます。