Alphabet 傘下の Waymo が、自動運転タクシー(ロボタクシー)サービス「 Waymo One 」を米国および海外主要都市により早く、広範囲に展開する方針を発表しました。2025 年 8 月 29 日の公式発表では「 Bringing Waymo to more people, sooner 」と題し、現状の整理と、今後も自動運転技術の実用化を急ピッチで進めていく姿勢を示しています。
現在 Waymo は、フェニックス、サンフランシスコ、ロサンゼルス、オースティン、アトランタでサービスを提供中ですが、今後マイアミ、ワシントン D.C. 、ダラスなど米国の大都市への進出が予定されています。加えて国際展開では東京でもマッピングや準備テストを開始しており、日本市場への参入も検討されています。
同社の事業規模は急速に拡大しており、週あたり数十万件の完全自動運転によるライドを提供し、累計 1,000 万回超の無人乗車、総走行距離は 1 億マイル(約 1.6 億 km )を突破しています。2026 年末までには週 100 万回以上のライド提供を目指すとしており、単一都市での実証実験フェーズから複数大都市での本格的な商用サービスの段階へと舵を切っています。
技術面では、「 Waymo Driver 」と呼ばれる自動運転システムが 29 台のカメラ、レーダー、 AI を活用した知覚システムを搭載し、悪天候や夜間でも安全に走行できます。現在はジャガー I-PACE を使用していますが、2025 年からは中国の Zeekr 製車両の導入を予定しています。ただし、米国での中国製 EV に対する高関税( 250% )が課題となっています。
資金面では、2024 年 10 月に 56 億ドル(約 8246 億円)の資金調達を完了し、総額 110 億ドル(約 1 兆 6192 億円)以上の資本を確保しました。主に親会社 Alphabet が主導し、 Andreessen Horowitz や Fidelity などの投資家も参加しています。
一方で、タクシーや ライドシェアドライバーの雇用への影響や、プライバシーの懸念、安全性への疑問など克服すべき課題も存在します。ニューヨークではタクシー運転手らが「 Waymo Go Home 」と抗議する事例も報告されています。
Waymo の共同 CEO である Tekedra Mawakana 氏は、技術の進化により人々の生活をより安全かつ便利にすると強調しており、自動運転業界のリーダーとしての地位を確立しつつあります。日本では高齢化によるタクシードライバー不足を背景に、 Waymo の技術が需要を満たす可能性があるとされており、今後の展開が注目されます。