AI スタートアップ Perplexity が Chrome に 345 億ドルの買収オファー

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AI 検索サービスを提供する新興企業 Perplexity が、Google の Chrome ブラウザに対して 345 億ドル(約 5 兆 1060 億円)での買収を提案したと 2025 年 8 月 12 日に Wall Street Journal が報じました。この予想外の買収オファーは、Google が米国当局から独占禁止法違反で訴えられているタイミングでの発表となり、テック業界に衝撃を与えています。

今回の提案は、Google が反トラスト法訴訟により Chrome の手放しを余儀なくされる可能性を見込んだものです。2024 年に連邦地方裁判所は、Google が検索市場で不正に独占状態を築いていると判断しており、司法省側は Chrome の分離が競争回復のための有効な手段だと主張しています。

Perplexity の企業価値は約 140 億~ 180 億ドル(約 2 兆 700 億~ 2 兆 6640 億円)程度とされており、買収資金の大部分は外部の投資会社やファンドが提供する予定だと説明されています。同社の投資家には NVIDIA や SoftBank といった大手企業が含まれているとされます。

Chrome は全世界で約 30 億人が利用し、ブラウザ市場の 60~ 68% を占める支配的なプラットフォームです。Perplexity にとって、この買収は AI 検索領域で Google や OpenAI などの大企業と対等に競争するための戦略的な機会となります。同社は既に 2025 年 7 月に AI 機能を統合したブラウザ「 Comet 」を発表しており、Chrome 買収により AI 検索体験をより広範囲に提供することを目指しています。

買収が実現した場合、Perplexity は Chrome の基盤技術である Chromium をオープンソースとして継続し、Google 検索をデフォルトに設定しつつも、ユーザーが自由に検索エンジンを選択できる環境を約束しています。さらに、セキュリティと機能向上のために今後 2 年で 30 億ドル(約 4440 億円)の投資を行うとしています。

ただし、この買収計画には複数の障壁が存在します。Google は Chrome を同社の AI 戦略と検索ビジネスの根幹として位置づけており、売却には断固として反対しています。業界関係者の中には、この提案を Perplexity の知名度向上を狙った PR 活動と見る声もあります。加えて、OpenAI や Yahoo などの他社も Chrome への関心を表明しており、実際に売却となれば激しい争奪戦が展開されると予想されます。