【 Breaking News 】DeepSeek の次世代 AI 「 R2 」、米輸出規制でリリース遅延

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米 The Information によると、中国の AI 企業 DeepSeek が開発中の次世代 AI モデル「 R2 」のリリースが、米国の輸出規制による NVIDIA チップ不足のため大幅に遅延していることと報じられました。当初 5 月を予定していたリリースは、現時点で新たな日程も未定となっています。

遅延の主な原因は、米国が 2025 年 4 月に NVIDIA の H20 チップの中国への輸出を禁止したことです。 DeepSeek の既存モデル「 R1 」は主に H20 チップで動作しており、クラウド顧客による R1 の利用が H20 の在庫を圧迫し、 R2 のトレーニングや展開に必要な計算リソースが深刻に不足している状況です。

DeepSeek の CEO である Liang Wenfeng (梁文峰)氏は、 R2 の現在の性能に満足しておらず、リリースの許可を出していません。エンジニアチームは数か月にわたりモデルの改良を続けており、 CEO の承認が得られるまでリリースは延期される見込みです。 R2 は R1 を上回るコーディング能力や多言語推論能力を目指して開発されています。

技術的な課題も深刻です。 DeepSeek のモデルは NVIDIA のハードウェアとソフトウェアに最適化されており、 Huawei などの国産代替チップへの移行は性能と効率の大幅な低下を招くため現実的ではありません。 Liang CEO は「資金問題ではなく、ハイエンドチップの禁輸が最大の障害」と明言しています。

この状況は中国の AI 業界全体に影響を与えています。米国の輸出規制により、中国の AI 企業はアメリカ企業に比べて「4 倍の計算資源の不利」を強いられているとされ、一部の企業はマレーシアなど海外のデータセンターで NVIDIA チップを使ってモデルを訓練するなどの回避策を模索しています。

また、DeepSeek は中国の主要クラウドプロバイダーと連携し、 R2 モデルの配信準備を進めています。しかし、 R2 が期待通りの高性能を実現すれば利用者が急増し、現在のサーバー処理能力では対応しきれない可能性が出てきています。 NVIDIA チップ不足により新たなサーバーの増設も困難で、需要に応じた拡張ができない状況となっています。

DeepSeek は R1 モデルで低コストながら ChatGPT に匹敵する性能を実現し、市場に大きな影響を与えました。 R2 への期待も高かっただけに、今回の遅延は同社にとって大きな逆風となっています。一部報道では、輸出規制を回避するため東南アジアのシェルカンパニーを通じて NVIDIA の H100 チップを入手しようとしたとされていますが、公式なコメントはありません。