AI 動画作成サービス Synthesia の共同創業者である Matthias Niessner 氏が、文章や画像から立体的な 3D 空間を作り出す AI システムの開発を目指す新会社「 SpAItial 」を設立しました。同社は 2025 年 5 月、創業間もない段階で 1300 万ドル(約 18 億 8500 万円)という大規模な資金調達を実現し、業界の注目を集めています。
SpAItial が開発するのは「空間基盤モデル」と呼ばれる新しい AI 技術です。これまでの AI は平面的な画像を点の集合として作成していましたが、この技術は空間や時間の概念を理解し、立体的な構造を直接操作できるようになります。その結果、より現実に近く、一貫性のある 3D 世界を生成することが可能になります。
この技術の応用範囲は非常に広く、ゲーム開発、映画制作、建築設計、ロボット工学、都市計画、 AR / VR 、オンラインショッピングなど、さまざまな分野での活用が期待されています。特に注目すべきは、たった 1 枚の写真からでも、まるで写真のようにリアルな 3D 空間を作り出せる可能性があることです。
Niessner 氏は、単に見た目だけの 3D 空間ではなく、実際にユーザーが中に入って様々な活動ができるインタラクティブな環境の実現を目指しています。同氏の究極の目標は「 10 歳の子供が文章を入力するだけで、 10 分以内に自分だけのビデオゲームを作れるようになること」です。
創業チームには、 Niessner 氏をはじめとして 3D 技術の専門家が集結しています。 Google の立体映像会議システム「 Beam 」の元主要開発者 Ricardo Martin-Brualla 氏や、 Meta で文章から 3D オブジェクトを生成するプロジェクトを指揮した David Novotny 氏など、この分野の第一人者が参加しています。
今回の資金調達は、多くの有力企業への投資実績を持つ Earlybird Venture Capital が主導しました。調達した資金は技術開発、インフラ整備、チーム拡大に使われ、企業との協力を通じて実用化に向けたテストを進める予定です。
現在、 AI による画像や動画の自動生成技術が急速に発達していますが、立体的で一貫性のある 3D 世界の生成は「 AI の究極目標」とも言われる困難な課題です。 SpAItial は、この困難な分野で革新的な技術を生み出し、デジタルコンテンツ作成の常識を変える可能性を秘めた注目企業として期待を集めています。