xAI が開発する AI チャットボット「Grok」に、過去の会話を記憶する「メモリ機能」と、ファイルや会話を整理できる新しい「Workspaces(ワークスペース)」タブが導入されました。これらの機能によって、Grok はよりパーソナライズされた体験を提供し、プロジェクト管理も効率化できるようになります。
メモリー機能の特徴
Grok の新しいメモリ機能は、ユーザーとの過去の会話内容を記憶し、次回以降のやりとりに反映します。例えば、旅行の好みや興味のある話題を覚えておき、後日の質問に対してユーザーに合わせた回答を提供できるようになりました。メモリ機能は競合のChatGPT、Claude、Gemini、いずれにもすでに搭載されている機能です。
透明性とプライバシーコントロールにも配慮されており、Grok が記憶している情報はユーザーがいつでも確認でき、不要な記憶は個別に削除することも可能です。設定メニューの「データコントロール」からメモリ機能自体を無効化することもできます。また、「プライベートチャット」モードを使えば、その会話内容は記憶されません。
現在、この機能は grok.com および iOS/Android アプリでベータ版として利用可能ですが、EU および英国では規制の関係で未提供となっています。今後同機能は X(旧 Twitter)上の Grok にも統合される予定です。
Workspaces タブの特徴
Workspaces は、Grok 上でファイルや会話を整理・管理できる新しいタブです。複数のプロジェクトやドキュメント、コード、レポート、ゲームなどを一元管理し、効率的にコラボレーションができるようになります。競合のChatGPT、ClaudeのProjects、GeminiのGemsなどと同等の機能です。
主な機能としては、ドキュメントやコード、レポート、ブラウザゲームなど多様なコンテンツの生成・編集、Python や C++、JavaScript など複数言語でのコード実行とプレビュー、Google Drive との連携によるファイル添付・編集などが可能です。分割画面インターフェースによる共同作業もサポートしています。
Workspaces は無料ユーザー・有料ユーザーの両方が利用でき、特別なサブスクリプションは不要です。
競合との比較と今後の展望
この機能追加により、Grok は OpenAI の ChatGPT や Google の Gemini 、Anthropic の Claude など競合サービスが提供する類似機能に追いつき、差別化を図っています。特に無料ユーザーにも高度な機能を提供している点が特徴です。
コーディング機能やメモリー機能に対する評価は概ね肯定的ですが、プロンプトの消失やドキュメントのアップロード不具合など、使い勝手に関する課題も報告されています。xAI はこれらのフィードバックを受けて改善を進めている状況です。