OpenAI、ChatGPTのメモリ機能を大幅強化—過去の全会話を自動記憶

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OpenAI は 2025 年 4 月 10 日、 ChatGPT のメモリ機能を大幅にアップデートし、 AI アシスタントがユーザーの過去のすべての会話を自動的に記憶し参照できるようになりました。これにより、ユーザーの好み、興味、会話のトーンなどを把握した、よりパーソナライズされた応答が可能になります。

このアップデートでは、メモリ管理に 2 つのモードが導入されています。「保存されたメモリ」は、ユーザーが明示的に記憶するよう指示した情報を管理するもので、従来のカスタム指示に近い機能です。もう一つの「会話履歴の参照」は、過去の会話から得た情報を自動的に抽出し、将来の応答に活用するというものです。

OpenAI の CEO 、サム・アルトマン氏は「 AI があなたの人生を通じてあなた自身について知り、非常に便利でパーソナライズされたものになる」と述べており、この機能によって ChatGPT が単なるセッションごとの対話ツールから、長期的な関係構築型 AI へと進化する一歩だ、としています。

プライバシーへの配慮も強化されており、設定メニューからメモリ機能を完全に無効化できるほか、特定の会話を記憶させない「一時的なチャットモード」も用意されています。また、保存されたメモリを個別に確認・削除したり、すべてのメモリをクリアしたりすることも可能です。 ChatGPT に「何を覚えている?」と聞くことで、記憶内容を確認する機能も提供されています。

現在、この機能は ChatGPT Pro(月額 200 ドル(約 3 万円))および Plus(月額 20 ドル(約 3 千円))の有料ユーザーに展開されており、 Team 、 Enterprise 、 Edu ユーザーには数週間以内に提供される予定です。無料ユーザーへの提供時期は未定で、 OpenAI はこの機能については「有料ユーザーへの展開に注力している」としています。また、欧州経済領域( EEA )、英国、スイス、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインでは、データ保護規制( GDPR など)の影響で現時点では利用できません。

この機能の利点としては、長期間のプロジェクトや継続的な学習で過去のやりとりを再度説明する手間が省けることが挙げられます。一方で、すべての会話が記憶されることによる機密情報や個人情報の保持リスク、ユーザーのデータが OpenAI のエコシステム内に閉じ込められる「ロックイン効果」などが懸念されています。

Google の Gemini が同様のメモリ機能強化を 2 月に発表したことを受け、 OpenAI はこのアップデートで業界のリーダーとしての地位を維持しようとする狙いもあるようです。今後は Google 、 Anthropic 、 Meta などの競合も同様の機能強化を進めており、 AI アシスタントの「パーソナライズ戦争」が一層加速することが予想されます。