Anthropic が 2025 年 3 月 3 日、35 億ドル(約 5180 億円)のシリーズ E 資金調達を完了し、企業価値が 615 億ドル(約 9 兆 1020 億円)に達したことを発表しました。この発表は、同社が新たな AI モデル「 Claude 3.7 Sonnet 」をリリースしてからわずか数日後のことです。
この大規模な資金調達は、Lightspeed Venture Partners をリードインベスターとし、Bessemer Venture Partners 、Cisco Investments 、Salesforce Ventures など著名な投資家が参加しました。企業価値は 2024 年の 180 億ドル(約 2 兆 6640 億円)から 1 年で 3 倍以上に膨れ上がり、AI 分野における Anthropic の急成長を印象付けています。
2 月 24 日に発表された Claude 3.7 Sonnet は、Anthropic が「ハイブリッド推論モデル」と呼ぶ新しいタイプの AI で、迅速な応答と深い論理的思考を状況に応じて切り替える能力を持っています。同社はこれを「これまでで最も知的なモデル」と位置づけ、特にプログラミングや問題解決のタスクで高い性能を発揮すると主張しています。
Anthropic は今回調達した資金を、次世代 AI システムの開発、計算能力の拡大、解釈可能性と整合性に関する研究の強化、そしてグローバル展開の加速に使用する計画です。同社はすでに Amazon や Google からの投資を含め、累計 110 億ドル(約 1 兆 6280 億円)以上の資金を確保しています。
収益面でも同社は順調な成長を見せており、 2024 年に約 10 億ドル(約 1480 億円)だった年間収益は 2025 年にはさらに 30% 増加する見込みです。Zoom 、Snowflake 、Pfizer などの大手企業が Claude を採用するなど、企業顧客の獲得も進んでいます。
この資金調達と新モデルの発表により、Anthropic は OpenAI の主要な競合としての地位を確立しました。OpenAI の企業価値が 3000 億ドル(約 44 兆 4000 億円)を超えるとされる中、Anthropic は急速に追い上げを見せています。安全性と倫理を重視しつつ、実用的な AI 開発を進める同社の戦略が、投資家から高い評価を受けていることがうかがえます。
ただし、他の AI 企業と同様、巨額の開発コストによる収益性の課題も抱えており、今後どのようにビジネスモデルを確立していくかが注目されます。