Alibaba の大規模言語モデル部門「 Qwen 」チームが、推論能力に特化した新しい AI モデル「 QwQ-Max-Preview 」を発表しました。 2025 年 2 月 25 日に公開されたこのモデルは、「思考」機能を実装した次世代 AI として注目を集めています。
QwQ-Max-Preview は、同社の既存モデル「 Qwen2.5-Max 」をベースに構築され、数学やコーディング、複雑な問題解決などの領域での深い推論能力を大幅に強化しています。名前に含まれる「 QwQ 」は、このユニークな思考能力を象徴しているとされています。
特筆すべき性能として、MATH データセット(難易度レベル 5 )の問題を 92 % 解決できる点が挙げられ、これは前モデルの 78 % から大きく進化しています。また、コーディング能力を評価する LiveCodeBench では 65.6 ポイントを記録し、OpenAI の「 o1 medium 」( 63.4 ポイント)を上回ったと報告されています。
技術面では、複数の専門的な「エキスパート」 AI を統合する Mixture-of-Experts ( MoE )アーキテクチャを採用し、タスクに応じて最適なエキスパートを活用することで計算コストを 30 % 削減しながら高い効率を実現しています。また、 20 兆以上のトークンを含むデータセットでトレーニングされ、 50 万回以上の人間による評価を経て安全性と精度が向上しています。
現在、このプレビュー版は Qwen Chat ウェブサイトで誰でも無料で利用できます。Alibaba は近いうちに Apache 2.0 ライセンスの下で「 QwQ-Max 」を完全オープンソース化する計画も発表しており、開発者コミュニティによる自由な利用や改良を可能にする方針です。
また、今後リソース効率の高い小型モデル「 QwQ-32B 」のリリースや、iOS と Android 向けの Qwen チャット専用アプリの提供なども予定されています。これらの取り組みは、Alibaba が今後 3 年間で AI とクラウドインフラに 530 億ドルを投資するという大規模計画の一環と位置づけられています。
中国の DeepSeek が「 R1 」を発表して以降、国内外での AI 競争が激化しています。