ノルウェーのロボティクス企業 1X Technologies が、家庭での利用に特化した次世代ヒューマノイドロボット「 NEO Gamma 」を発表しました。このロボットは、従来の産業用ロボットとは一線を画す柔らかく親しみやすい外観と、家庭内タスクをこなすための高度な AI 機能が特徴です。
NEO Gamma は、同社の前モデル「 NEO Beta 」の後継として 2025 年 2 月 21 日に公開されました。最も注目すべき特徴は「 KnitSuit 」と呼ばれる柔らかいナイロン製スーツで覆われた外観で、これは日本の島精機製の機械で 3D プリントされています。この素材により、家庭内での安全性と快適さが大幅に向上し、金属的な硬さを感じさせない親しみやすいデザインを実現しています。
このロボットは、自然な人間の動きを実現する高度なコントローラーを搭載しており、歩行や物を拾う動作、椅子に座るといった基本的な動作をスムーズに行えます。視覚操作モデルと強化学習を組み合わせることで、未学習の環境でもさまざまな物体を認識し、的確に操作する能力を持っています。さらに、独自開発の大規模言語モデル( LLM )を活用した自然な会話機能も備えており、単なる作業ロボットの枠を超えて「家族の一員」としての役割も果たします。
家庭内タスクとしては、掃除機がけや拭き取り、洗濯物の運搬、コーヒーの準備など、日常的な家事をサポート。動作音も冷蔵庫程度(約 10 dB 低減)に抑えられており、家庭環境での使用に配慮されています。
1X の CEO である Bernt Børnich 氏は「人型ロボットが日常生活に真に溶け込むためには、人間と共存しながら開発される必要がある」と述べており、家庭環境での実用性を最重視する姿勢を示しています。現在 NEO Gamma はプロトタイプ段階にあり、まずは 1X の従業員の自宅でテストが行われており、今後は選ばれた早期採用者に提供される予定です。
市場展開としては高級市場向けに位置づけられ、予定価格は約 5,000 ドル(約 65 万円)からとされています。Tesla の Optimus や Agility Robotics の Digit など産業用途に特化する競合と異なり、1X は「ホームファースト」戦略で独自のポジションを確立しようとしています。
NEO Gamma は、高齢者の自立生活支援や家事負担の軽減などの社会課題の解決にも貢献する可能性を秘めており、ロボティクス業界における重要な進展として注目されています。