GoogleがAI研究支援システム「AI co-scientist」を発表 – 科学的発見の加速を目指す

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Googleは2月19日、Gemini 2.0を基盤とした研究支援システム「AI co-scientist」を発表しました。このシステムは、科学者の「共同研究者」として機能し、新たな仮説の生成から検証プロセスまでを包括的にサポートします。

AI co-scientistの最も注目すべき特徴は、複数のAIエージェントが連携して動作するマルチエージェント設計です。例えば、あるエージェントが仮説を提案し、別のエージェントがその評価と改良を行うという「自己改善ループ」を形成します。研究者は自然言語で研究目標を指定するだけで、AIが関連文献を調査し、実験可能な仮説や具体的な研究計画を提案してくれます。

すでに実世界での成果も報告されています。例えば、細菌間の遺伝子移動メカニズムに関する研究では、ロンドンのインペリアルカレッジの研究チームが未発表の発見と一致する仮説を得ることに成功。通常、数週間から数年を要する研究課題を、わずか数日で処理できたとされています。ベンチマークテストでは、他の最先端AIモデルや人間の専門家を上回る80%以上の正確性を記録したということです。

現在、このシステムは一般公開されておらず、Googleの「Trusted Tester Program」を通じて約20名の研究者に提供されている段階です。Googleは、このツールが科学プロセスを完全に自動化するものではなく、あくまで人間の研究者を補佐する「協働ツール」であることを強調しています。

GoogleのCEO、サンダー・ピチャイ氏は「AIによる科学と発見の加速は最も深い応用の一つ」と述べており、医学、遺伝学、バイオ医療など、幅広い分野での活用が期待されています。AI co-scientistの登場により、小規模な研究室やリソースが限られた機関にも、高度な研究能力がもたらされる可能性が開けてきました。