OpenAI、高速推論モデル『 o3-mini 』を発表

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OpenAI は 1 月 31 日、特にSTEM(科学、技術、工学、数学)分野に強い新しい推論モデル「 o3-mini 」を発表しました。このモデルは、従来のバージョン( o1 モデル)と比較してコストとレスポンスタイムを大幅に削減しつつ、推論モデルで初めて無料ユーザーにも利用可能となった画期的なモデルです。

o3-mini の特徴として、複雑な科学的問題や数学的計算、プログラミングタスクにおける高い推論能力が挙げられます。特に博士レベルの科学問題やプログラミングコンテストでは優れた結果を示しています。また、前世代の「 o1-mini 」と比較して応答速度が 24% 向上し、平均応答時間は 10.16 秒から 7.7 秒に短縮。コスト面でも 63% の削減を実現しています。

利用にあたっては、「 low (低)」「 medium (中)」「 high (高)」の 3 つの推論レベルから選択可能で、用途に応じて使い分けることができます。高い推論レベルを選択すると応答時間は長くなりますが、より深い推論が可能になります。

無料ユーザーはプロンプト入力欄にある「 Reason (理由)」ボタンをクリックすることでこのモデルを使用できますが、1 日のクエリ数には制限があります。一方、有料プラン( Plus 、 Team 、 Pro )のユーザーは、より高い推論レベル( o3-mini-high )を選択可能で、Pro プランでは無制限に利用できます。

このリリースの背景には、中国の AI スタートアップ DeepSeek が開発した低コストで高性能な推論モデル「 R1 」への対抗という側面があります。OpenAI は市場競争力を維持するために o3-mini を予定を繰り上げてリリースしたとされています。また、無料ユーザーに開放したのも R1 とのコスト競争を意識したと言われています。

なお、現状 o3-mini は画像解析機能を持たないため、ファイルをアップロードして写真や画像を認識する用途には使用できない点に注意が必要です。