NVIDIAは、CES 2025の基調講演において、特にロボットや自動運転車(AVs)など、現実世界で活動する「物理AI(Physical AI)」の開発を加速するための革新的なオープンプラットフォーム「Cosmos」を発表しました。
Cosmosの中核となるのは、「世界基盤モデル(World Foundation Models, WFMs)」と呼ばれる高度な生成AIモデルです。これらのモデルは、20万時間以上の実世界の映像データを基にトレーニングされており、物理的な現象を忠実に再現するフォトリアルな合成データを生成できます。これにより、開発者は雪道や混雑した倉庫など、現実では収集が困難なシナリオを仮想環境で再現し、AIモデルのトレーニングや評価を効率化できます。
Cosmosは、NVIDIAのOmniverseプラットフォームと連携し、3Dシミュレーションデータから本物そっくりの動画を生成します。また、障害物回避や物体操作といったタスクを、仮想空間で安全にテストできます。
Cosmosはオープンソースで提供されており、開発者は自身のデータセットを使用してモデルを微調整することが可能です。これにより、特定の用途に合わせたカスタマイズが容易になります。
NVIDIAのCEOであるジェンセン・フアン氏は、Cosmosがロボットや自動運転の分野に大きな変革をもたらすと述べています。
筆者の視点:年末にも同様の研究発表がありましたが、今後はロボットや自動運転、ドローンといった実世界で活動するAIをどのようにトレーニングするか、が重要な課題となるかと思います。テスラは実車から収集したデータを活用していますが、NVIDIAのように仮想世界に現実そっくりの「Digital Twin」を構築し、その中で膨大なシミュレーションを行う手法が主流になっていくと思います。今回発表されたCosmosは、この流れの中で極めて重要な意味を持ちます。
基調講演では同時にトヨタとの自動運転分野での提携も発表されており、Cosmosプラットフォームを活用したトレーニングが計画されています。これにより、自動運転分野で相当先をいくテスラに対抗するための道筋が競合他社にも見えてきたと言えるでしょう。