AI 検索スタートアップの Perplexity は、このほど新たな資金調達ラウンドで 5 億ドル(約771億円)を確保し、評価額を 1年で 3 倍の 90 億ドル(約1兆3877億円)に引き上げました。この資金調達は Institutional Venture Partners が主導し、12 月初旬に完了しました。
Perplexity は 2024 年初頭に 5 億 2000 万ドル(約802億円)の評価額でスタートし、夏には 30 億ドル(約4,626億円)に達していました。今回の資金調達により、その評価額は一気に 90 億ドルまで跳ね上がりました。
Perplexity は Google の検索エンジン市場における支配的な地位に挑戦しており、Google もこれに対抗するため AI 生成の要約や回答を検索結果ページに組み込むなどの対策を講じています。また ChatGPT や Grok などの他の AI 検索エンジンとも競合関係にあります。
資金調達と同時に、Perplexity は Carbon という AI スタートアップも買収しました。Carbon の技術により、Notion や Google Docs などのアプリケーションからデータを統合し、企業向け検索機能の向上が期待されます。
事業面での成長は著しく、2024 年 7 月には約 2 億 5000 万件のクエリに回答するまでになっています。月間収益も年初と比べて 7 倍に増加し、2024年の年間収益は 3500 万ドル(約54億円)に達する見込みです。同社はパブリッシャープログラムも導入し、Time、Entrepreneur、Spiegel、WordPress.com などの著名な出版社と提携しています。
ただし、Perplexity は News Corp 傘下の出版社から著作権侵害の訴訟も起こされており、AI が出版社のコンテンツを利用してユーザーの質問に答えていることが問題視されています。
最近、GoogleやOpenAIなどの競合がAIを活用した検索機能を強化する中で、Perplexityの優位性が徐々に薄れつつあります。肝心の検索機能に大きな進化が見られず、依然として「ハルシネーション(虚偽の回答)」を繰り返す点が課題です。今年の前半までは検索分野のリーダー的存在だったものの、最近ではショッピング機能や広告機能といった周辺サービスの発表が目立ち、競合に追いつかれつつある状況が残念です。ビジネスのコアである検索機能の革新に注力し、再び存在感を高めることを期待したいところです。