NVIDIAは、コンパクトでありながら強力な性能を持つ開発者向けAIプラットフォーム「Jetson Orin Nano Super Developer Kit」を発表しました。この新しいデベロッパーキットは、生成AI(Generative AI)アプリケーションに最適化されており、前モデルと比較して大幅な性能向上を実現しながら、価格を半分の$249(約3万円)に抑えています。
Jetson Orin Nano Superは、NVIDIA Ampereアーキテクチャを採用したGPUを搭載し、1024 CUDAコアと32 Tensorコアを備えています。これにより、生成AIモデルや画像認識、ロボティクスなどの高度なAIタスクを効率的に処理することが可能です。CPUには6コアのArm Cortex-A78AE v8.2 64ビットプロセッサを採用し、最大1.7GHzのクロック速度を実現しています。
メモリ帯域幅もLPDDR5メモリの採用により64GB/sから102GB/sに増加し、データ転送速度が大幅に向上しました。消費電力は7W、15W、25Wの3つのモードに対応しており、特に25Wモードでは最大70%の性能向上が可能です。
Jetson Orin Nano Superは、大規模言語モデル(LLM)や画像生成モデルの推論・トレーニング、自律型ロボットやドローンの開発、リアルタイムの画像処理など、幅広い用途に適しています。特に、学生や趣味でAI開発を行う個人、プロトタイピングを行う企業にとって、コストパフォーマンスの高い選択肢となっています。
NVIDIAのAIというと、BlackWellなどの数億円もするユニットばかりが注目されていますが、今回のような小さく高性能なGPUも発表してくれるところが好感を持てます。オープンソースで発表されているコンパクトなLLMや画像生成・動画生成モデルも増えてきていますので、そうしたモデルをローカルで動かしてアプリケーションの開発を進めたいと考えている研究者・開発者にとっては大変助かる選択肢の一つとなるでしょう。