AWSがデータセンターを大規模アップグレード、次世代AIワークロードに対応

投稿者:

Amazon Web Services(AWS)は、次世代のAIチップや生成AI(genAI)ワークロードの需要に対応するため、データセンターインフラの大規模なアップグレードを発表しました。主な改善点は、新しい液体冷却システムの導入、電力効率の向上、モジュール式設計の採用などです。

新しい液体冷却システムは、AWS独自のTrainium2チップやNVIDIAのGB200 NVL72チップなどの高性能AIプロセッサを効率的に冷却することを目的として開発されました。従来の空冷方式と液冷方式を組み合わせたハイブリッド設計で、「直接チップ冷却(direct-to-chip cooling)」を採用しており、熱管理の効率が大幅に向上します。

電力分配システムも簡素化され、電気的な問題が発生した際に影響を受けるラックの数を最大89%削減する設計が採用されました。これにより、データセンター全体の信頼性が向上し、エネルギー消費も削減されます。

また、新しいデータセンターの設計はモジュール式で、既存のインフラストラクチャを簡単に置き換えできるようになっています。これにより、新しいシステムへの移行が容易になり、急速に増加する生成AIアプリケーションの需要増加に対応することができるようになっています。

これらの改良により、AWSのデータセンターは1サイトあたりの計算能力が12%向上し、生成AIやその他の高負荷ワークロードを効率的に処理できるようになりました。

AWSは、これらの技術革新を通じて、データセンターのエネルギー効率を向上させるだけでなく、環境対応(CO2削減)にも取り組んでいます。Amazonは2040年までにCO2排出量をネットゼロにする目標を掲げています。

Amazonのクラウド、AWSはGoogleやMicrosoftなどのクラウド競合他社の激しい追い上げを受けていますが、独自のAIチップ開発や、今回発表されたデータセンターインフラの刷新など、継続的な進化を遂げ、業界トップの座を守ろうとしています。