カリフォルニア州知事、画期的なAI安全法案を拒否 規制のあり方を再考へ

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現地時間9月29日、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事が、AI業界で注目を集めていた画期的なAI安全法案S.B. 1047に拒否権を発動しました。この法案は、大規模AIモデルの開発者に公開前の安全性評価を義務付けるなど、包括的なAI規制を目指すものでした。

ニューサム知事は拒否の理由として、法案があまりにも大規模AIシステム(フロンティアモデル)の規制に偏重しており、他のAI利用のリスクや急速に進化するAI技術の特性を十分に考慮していないことを挙げました。また、厳格な規制が誤った安心感を与える可能性についても指摘しています。

法案への賛否は分かれていました。技術専門家や学者、エンターテインメント業界のリーダーらは、AIの潜在的な危険性から公衆を守るために必要な法案だと主張。一方、OpenAIやGoogleなどの大手テクノロジー企業は、イノベーションを妨げる可能性があると批判していました。

知事の拒否は、AI安全性の擁護者にとっては後退と受け止められています。しかし、ニューサム知事は他のAI関連法案には署名しており、AIの規制に関する取り組み自体は継続される見込みです。今回の拒否については、カリフォルニア州議会が3分の2の多数票で覆すことができますが、こうしたことは稀なことだと言われています。

今回の拒否は、AIの潜在的リスクを管理しつつ、イノベーションを促進するという難しいバランスを浮き彫りにしました。今後は、より包括的で効果的なAI規制の枠組みが検討されることが予想されます。法案の再提出など、議論の行方が注目されます。