- 総合評価:★★★★★
- 自動運転技術の進歩:★★★★★
テスラが開発した完全自動運転(Full Self-Driving)ソフトウェアの最新バージョン「FSD12.5」をご紹介します。
FSD12.5は2024年7月末に米国とカナダでリリースされ、多くのテスラユーザーから非常に高い評価を受けています。以前のバージョンに比べて自動運転機能が大幅に向上し、より安全で信頼性が高く、高級ハイヤーの運転手のようなスムーズな運転体験が得られていることが高評価の理由です。
テスラはFSD12.5のトレーニングのために、膨大な資金を注ぎ込んで独自のスーパーコンピューター「Dojo」を開発してきました。2024年中にDojoに10億ドル以上を投資するとしています。現在はその計画の一部が稼働しており、今回のFSD12.5のトレーニングのために10,000台以上のNVIDIA H100 GPUを使用したとされています。
そのトレーニングデータは、すでに販売され稼働しているテスラの車から日々アップロードされる膨大な実走行の映像で、1台の車から1日に平均3GB〜6GBのデータがアップロードされているようです。また、FSD12.5にアップデートされてからは、そのアップロードデータはさらに増え、1日25GB程度送信されているという事例も出てきているようです。
イーロンマスク率いるX、xAI、テスラはそれぞれ膨大な数のGPUの確保のために資金を投入していて、今後もFSDの性能はさらなる向上を続けていくものと思われます。
FSDは現在米国とカナダでのみリリースされていますが、次のバージョンからは中国、ヨーロッパでのリリースが計画されているようです。
筆者の評価は星5つです。膨大な走行データを元に、多大なコンピューティングパワーを投下すれば、自動運転性能が劇的に進化することが、ある意味FSD12.5により証明されました。そのやってみよう精神と、これまで着実にそのための技術基盤を築いてきた努力に改めて敬意を表したいと思います。
また、GPU確保の投資と、実走行データ収集は引き続き続いていますので、今後のバージョンアップでさらに進化を遂げていくことは間違いないと思われます。