AIを活用した次世代補聴器「Audéo Sphere Infinio」をスイスのPhonakが発表

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スイスの大手補聴器メーカーSonovaは、同社のブランドPhonakから、AI技術を活用した革新的なノイズキャンセリング補聴器「Audéo Sphere Infinio」を発表しました。

Sonovaは1947年に創業した歴史ある補聴器メーカーで、近年ではゼンハイザーのコンシューマー部門を買収するなど、積極的なM&A戦略により補聴器分野で大きな成長を遂げています。今回発表された「Audéo Sphere Infinio」は、Phonak独自の新チップ「DEEPSONIC」を搭載しており、従来のチップと比べて53倍の処理能力を誇ります。

このチップは毎秒7,700万回の演算が可能で、4.5百万のニューロン接続と2,200万のサウンドサンプルで訓練されたディープニューラルネットワーク(DNN)を活用し、リアルタイムで音声と雑音を分離します。これにより、特に雑音が多い環境での音声理解が大幅に向上し、ユーザーは従来の補聴器に比べて2〜3倍の確率で音声を聞き取れるようになります。

また、実際の使用では、93%のユーザーが音質に満足していて、リスニングの負担を45%削減、疲労感を21%軽減するなど、ユーザー体験が大きく改善されています。さらに、Bluetooth対応デバイスとの接続距離も2倍に延びるなど、優れた接続性も特徴です。

Phonakは「Audéo Sphere Infinio」を中心とした新製品ラインアップを発表し、8月7日から注文受付を開始します。Sonovaグループの副社長ロバート・ウーリー氏は、最先端のAI技術を活用したこの補聴器が、日常の会話が聞き取りにくいと悩む人々にとって「ゲームチェンジャー」になると述べ、同社の技術革新に対する強い意欲を示しました。