ソフトバンクグループは、英国のAIチップメーカーであるGraphcoreを買収したことを発表しました。買収額は非公開となっています。この買収は、ソフトバンクがAIチップ市場に本格的に参入する戦略の一環として位置づけられています。
Graphcoreは、かつてNvidiaのライバルと目されていましたが、競争に必要な投資を確保するのに苦労していました。2020年末には27億7000万ドル(約4380億円)の評価額を得ていましたが、昨年公開された提出書類によると、黒字化にはさらなる資金が必要な状況でした。今回の買収により、Graphcoreはソフトバンクの資源を活用してグローバルレベルで競争できるようになると期待されます。
Graphcoreの共同創業者兼CEOであるナイジェル・トゥーン氏は、AI市場の急成長と規模の大きさに驚いたと述べ、買収額についてはコメントを控えました。また、トゥーン氏は、英国のテック業界について、英国の年金基金が急成長するスタートアップへの投資に消極的であることが成長の障壁になっていると指摘しました。
ソフトバンクは、今年2月に「Izanagi(イザナギ)」と呼ばれる100億ドル規模のAIチップ投資計画を検討していることを明らかにしました。この計画では、ソフトバンクが30億ドルを投資し、残りの70億ドルを中東から調達する予定とされています。この動きは、NVIDIAと直接競合することを目指しており、半導体業界での競争力を高めることを目的としています。
さらに、ソフトバンクの子会社であるArmも、今年5月に独自のAIチップ開発計画を発表しました。最初のプロトコルを2025年春までにリリースし、同年秋には量産を開始する予定です。開発費用は数千億円規模と推定され、初期費用はArmが負担し、ソフトバンクも出資する予定です。
ソフトバンクによるGraphcoreの買収は、これらの一連の動きに沿ったものと言えるでしょう。ソフトバンクは、スタートアップ投資から半導体分野へと戦略をシフトしており、AIチップ市場への本格参入を図っています。