上海で開催された世界人工知能大会(WAIC)で、中国のAI企業が大規模言語モデル(LLM)、ロボット工学、その他のAI関連製品における大きな進歩を披露しました。米国による先進半導体の輸出制裁にもかかわらず中国のAI企業は着実な進化を遂げているようです。
中国最大のAIカンファレンスであるWAICで、中国の主要なLLM開発企業であるSenseTimeとAlibabaが、AI技術開発における新たな進歩を宣言しました。SenseTimeは、最新の基本モデルであるSenseNova 5.5を発表し、8つの主要な指標のうち5つでGPT-4oの性能を上回ったと主張しています。また、同社は、音声、テキスト、画像、動画をリアルタイムで処理できるマルチモーダルモデルであるSenseNova 5oもリリースしました。(そのネーミングセンスはどうかとは思いますが・・)
またAlibaba Cloudは、オープンソースのTongyi Qianwenモデルのダウンロード数がわずか2か月で2倍の2000万件を超えたと報告しました。同様に、LLMや音声認識技術などを開発するAI企業、「iFlyTek」は、複数の分野でGPT-4 Turboを上回る進歩を誇るSparkDesk V4.0を発表しています。また、中国のGPU設計に特化した半導体企業「Moore Threads」は、NVIDIA社の規制対象であるA100の60%の性能を発揮するGPUを搭載したAIデータセンターソリューションであるKUAEを展示しています。
中国のAI企業が米国の規制によって足を引っ張られていて、米国が圧倒的優位にいるかというと、そうではない、ということが今回の世界大会を通じて明らかになってきました。今回新たに発表されたモデルや技術は、AI業界のリーダー企業に匹敵しています。制裁によって一時的に停滞が生じたのかもしれませんが、同時に競争力を維持するための回避策を生み出す中国のイノベーションを促進してしまったとも言えます。