Adobeの「Firefly」、競合AIが生成した画像で学習していた事実が判明

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デジタルクリエイティブ業界に衝撃が走っています。米Bloombergが報じたところによると、Adobe社が開発した画像生成AIソフト「Firefly」が、実は競合他社のMidjourneyが生成した画像を学習データに使用していたことが明らかになりました。

これまでAdobeは、自社のライセンス画像データベース「Adobe Stock」を主に使用してFireflyを開発しているとして、インターネットから画像をスクレイピングする競合他社とは一線を画してきました。先日も、Adobeがトレーニング用の動画1分あたり3ドルで買い取るというニュースがあり、著作権に配慮したクリーンなAIというイメージを築いていたのです。それによりクリエイターは安心してAdobe製品のAIを使用することができ、また比較的高価なサブスクリプション料金も正当化されてきました。

しかし、実際にはFireflyの学習データには、MidjourneyなどのAIが生成した画像も含まれていたことが社内の議論で明らかになりました。社内では、AI生成画像の使用に関する倫理性や対外的な印象の問題が議論され、段階的に使用を削減する提案もなされましたが、現在のところ具体的な計画はないようです。

Adobeは、ライセンスを受けたデータや公開データのみを使用してAIを学習させることで、クリエイティブコミュニティを尊重する「倫理的なAI(Ethical AI)」として、Fireflyを市場に位置づけてきました。しかし、今回の事実は、Fireflyの独自性を損ない、他社サービスとの差別化を難しくする可能性があります。

デジタルクリエイティブ業界では、著作権で保護された素材のAIでの使用に対する監視の目が厳しくなっています。Adobeは、データ収集方法の優位性を主張してきましたが、実際にはAI生成画像を学習データに使用していたことで、信頼性が揺らぐ事態となっています。