先日のインタビューでOpenAIの事業に集中すると述べていたSam Altman氏ですが、その一環としてOpenAI Startup Fundの所有権と管理権を手放したことが明らかになりました。
OpenAI Startup Fundは、MicrosoftなどのパートナーからAIスタートアップへの投資に1億7,500万ドル(約265億円)を調達しています。2021年の設立以来、ヘルスケア、科学、法律、教育、エネルギーなどの分野で、画期的な影響を与える可能性のあるアーリーステージの企業を支援してきました。
昨年時点で、同ファンドは少なくとも13社を対象に17件の投資を行っています。注目すべき投資先には、時価総額が7億1,500万ドル(約1080億円)に急上昇したリーガルテック企業のHarvey、同5億5,300万ドル(約837億円)のオーディオ編集プラットフォームDescript、同3億ドル(約454億円)のAIメディカル企業Ambience Healthcareなどがあります。
当初、Altman氏が直接ファンドを所有・運営するという異例の体制は、迅速な立ち上げのための一時的な措置とされていましたが、1年以上続いたため懸念が高まっていました。OpenAIは、Altman氏がファンドに経済的利害関係を持たないことを明らかにしています。
今回の移行により、設立当初からファンドの運営に携わってきたIan Hathaway氏がファンドの管理を引き継ぎます。この再編は、OpenAIが革新的(transformative)なAIスタートアップを支援しながら、投資活動のガバナンスをより明確で効果的なものにしようとする取り組みとなっています。
Altman氏は依然としてOpenAIのCEOを務めており、同社の事業に注力していく方針です。AIコミュニティにとって、この体制変更がより有益な方向性につながることが期待されます。OpenAIは革新的なAI技術の開発と、その社会実装を加速させるスタートアップ支援の両面で、引き続きAI業界の中で重要な役割を果たしていくでしょう。