インテルは、人工知能(AI)チップ市場の80%を占めるNVIDIAに対抗すべく、新しいAIチップ「Gaudi 3」を発表しました。Gaudi 3は、NVIDIAのH100 GPUと比較して、2倍以上の電力効率と1.5倍の速度を実現したと主張しています。また、2024年第2四半期から出荷予定のH200ともほぼ同等の性能と言われています。
インテルは、MetaのLlamaやFalconなどのAIモデルでGaudi 3をテストし、Stable DiffusionやOpenAIのWhisperなどのモデルのトレーニングやデプロイも可能であることを示唆しました。Gaudi 3チップは2024年第3四半期に提供開始予定で、Dell、Hewlett Packard Enterprise、Supermicroのシステムに組み込まれる予定ですが、価格は明らかにされていません。
インテルは、Gaudi 3を競争力のある価格と標準イーサネットを採用したオープンな統合ネットワークオンチップといった特長を備えた、NVIDIAに対抗する強力な製品として売り込んでいます。AIの需要が急速に拡大する一方で、特にNVIDIAのGPUを使ったAIシステムの運用コストは高額になりがちです。そのため、企業は新たなサプライヤーを探しており、この分野の市場構造が今後変化していく可能性はあります。
NVIDIAは、ハードウェアだけでなくCUDAソフトウェアを提供することで、顧客が他社製品に簡単に乗り換えられないような囲い込みができています。これに対抗してインテルは、GoogleやQualcomm、Armなどの大手企業と手を組み、チップメーカーの選択肢を広げるためのオープンで非独占的なソフトウェアの開発を進めています。さらに、インテルのGaudi 3は最先端の5ナノメートル製造プロセスを採用しており、2027年から2028年にかけてオハイオ州に建設予定の新工場でAIチップの製造を行う計画です。
NVIDIAは2024年中に次世代のBlackwellチップの投入を予定しており、開発者にとって使い慣れたソフトウェアとあいまって、AIチップ市場での独占的地位がすぐに揺らぐことはなさそうです。とはいえ、健全な競争はAI分野のさらなる発展に不可欠であり、インテルをはじめとする競合他社の活発な製品投入は歓迎すべきでしょう。