防衛技術スタートアップ企業のAnduril Industriesは現地時間8月8日、15億ドル(約2,200億円)の新規資金調達を行い、企業価値が140億ドル(約2兆550億円)に達したと発表しました。このラウンドはシリーズFにあたり、主要な投資家はFounders FundやSands Capitalなどです。
Andurilは2017年に起業され、主に自律型の兵器や軍事システムを開発しています。人間のオペレーターが目標の設定などの意思決定を行うと、実際の運用は自律システムによりほぼ自動で行われます。AIや機械学習(ML)は、センサー情報の処理や意思決定の補助、ドローンの自律飛行など様々な分野で応用されています。
調達資金は、自律型兵器の製造施設「Arsenal-1」の建設に充てられます。この施設は500万平方フィート(約46万平方メートル)の規模で、年間数万台の自律型軍事システムを生産可能とのこと。同施設では1,500人以上の雇用創出も見込まれています。
Andurilは、従来の防衛産業の常識を覆すべく、シリコンバレー流のスピード感と革新性を取り入れた企業です。独自開発のソフトウェア「Lattice」を中核に、設計から製造までを一貫して管理する「ソフトウェア主導の製造」を実現しています。さらに、市販の部品や材料を積極的に活用することで、製品の約90%を市販品で製造可能とし、柔軟性とコスト効率を両立させています。
同社のシステムは完全な自律性を持つのではなく、人間の監督と意思決定の下で運用される高度に自動化されたシステムです。AIやMLを活用して効率的に任務を遂行しますが、最終的な判断や責任は人間が担います。
ウクライナ情勢やイスラエル・イランの対立激化など、近年の国際情勢の緊張を受けて防衛分野への投資が活発化しています。