音声 AI 企業の ElevenLabs が、音楽生成モデルの新バージョン「Music v2」を公開しました。初代モデルから約 10 ヶ月ぶりの大型アップデートで、同社が提供する ElevenMusic と ElevenCreative ですでに利用できます。開発者向けの ElevenAPI への対応も近く予定されています。
Music v2 で特に注目される機能が、1 曲の中でジャンルを自由に切り替えられる点です。たとえばオペラ調のパートからヘビーメタルへ移行したり、高速ラップや効果音を曲中に組み込んだりしても、楽曲としてのまとまりが保たれます。また「インペインティング」と呼ばれる部分編集機能も改善されており、コーラスはそのままにブリッジだけを作り直すといった、細かな手直しが直感的にできるようになりました。
そのほかにも、イントロ・バース・コーラスといったセクション単位で楽曲を構成できる機能が追加され、断片的なクリップではなく一曲通して完成度の高い楽曲を作れるようになっています。ボーカルは 59 言語に対応しており、英語やイタリア語など 11 言語では母国語話者に近い自然な仕上がりが得られます。トラックの長さも 3 秒から 10 分まで自由に設定できます。
価格面では、API 料金を最大 50 %、ElevenCreative のセルフサービス料金を最大 40 %それぞれ引き下げました。
ビジネス利用において重要なのが権利処理の透明性です。Music v2 はライセンスを取得済みのデータのみで学習されており、生成した楽曲はそのまま商用利用できます。同期使用料やクリアランス手続きも不要で、ElevenLabs は Believe・Kobalt・Merlin といった音楽権利管理会社とも正式に契約を結んでいます。著作権侵害訴訟を抱える競合の Suno や Udio と比べ、企業としての信頼性を前面に打ち出した戦略です。
ElevenLabs は 2025 年 2 月に 5 億ドル(約 750 億円)の資金調達を完了し、企業評価額は 110 億ドル(約 1 兆 6,500 億円)に達しています。2026 年 4 月時点では年間経常収益 5 億ドル(約 750 億円)を達成したと伝えられており、Music v2 は AI 音楽生成が実験段階を超え、企業での実務利用に耐えうるツールへと進化したことを示す一つの節目といえます。
